ガスエンジンヒートポンプ(GHP)・灯油エンジンヒートポンプ(KHP)
ガスエンジンで圧縮機を駆動し、冷暖房を行うガスエンジンヒートポンプもガス供給会社の営業努力により近年普及が進んでいて、以下のような特徴がある。
- 消費電力が小さく、電力ピークカットの効果も高い。
- 発電機を搭載した機種も登場、自己消費電力のほとんどをまかなう為、商用の消費電力はごく僅かである。
- 電動機駆動のものより整備・点検費用が多くかかる。
- 初期導入費用が電気式より高い。(都市ガス用はメーカー系販社と取引があっても都市ガス供給事業者を経由しないと購入できないため割高である)
- 室外機の設置スペースまたは高さが電気式に比べ大きく必要(20馬力システムだと電気式と比較した場合占有面積は2割増し、高さは1.5倍、重量は2倍ある)
- レシプロエンジンでコンプレッサーを駆動するものはモーターに比べ騒音が大きい。またガス燃焼特有の臭気が発生する(エンジン自体はLPGタクシーやCNG車と同じだが排気ガスに関する厳しい規制が無く野放し状態)
- 燃焼排気ガスからドレン排水が発生するが、強酸性であるため中和処置を行わず垂れ流しにするとコンクリートの腐食を誘発する
- ガスエンジンの廃熱を暖房に利用できるため、寒冷地においても暖房運転の立ち上がりが良い。また暖房時の室外熱交換器の除霜にもエンジン廃熱を用いるため、暖房能力の低下を抑えることができる。
- エンジンがコスト面から旧式を使っており総合効率は1を少し上回る程度(エンジンが30%程度、ヒートポンプがEER値が3~4の場合システムCOP値は1~1.2)で近年の電気式の省エネ化(特にマルチでなく1:1システムが顕著)でCOP値が4以上と従来機の半分の電気代で運転できる事から、導入費用+保守費用+ガス代を考えてもGHPが割高となるケースがあり、最近は新規採用が激減している。
- エンジン式の構造上、現状では冷媒漏れが避けられず、今後地球温暖化など環境面で問題となる可能性が高い。
- 当然ながら燃料(特に都市ガス)の供給が絶たれると運転できない
LPガスは災害時に供給が止まることが少なく、発電機で少量の電気を供給すれば稼動する。 ただし、都市ガスは復旧が遅く長期に渡って空調が使えなくなる。 したがって都市ガスが無ければ営業自体ができない店舗(飲食店やガス炊きボイラーの浴場)では問題にならないが 病院や事務所、飲食店以外の店舗など直接ガスに依存しない施設ではGHPだけに頼るのは好ましい例とは言えない (ガス式と電気式を各々供給設備容量を考慮し双方を設置するのが好ましいと言える)
- 保守点検時、重要な注意事項がある。 従来のR-22冷媒を使用する機械でもHFC冷媒用合成油が使用されているため配管の水分管理、異種油の混入に十分注意する必要がある。ヤマハ製の場合PGA系合成油(カーエアコンR-134aとして用いられている油と同じ)これはGHPのメーカーからも判るようにカーエアコンのコンプレッサーを流用(あるいは技術を流用)しておりシャフトシールや摺動部の潤滑がR134a用PGAオイル対応にしてしまった為である。
GHPで使われていた配管を再利用してR410A冷媒などの電気式エアコンを接続する場合も問題があり、現状では配管洗浄が必須 この理由はカーエアコン用PGAオイルの漏電性の問題である。カーエアコン、GHPは駆動にエンジンを使うため絶縁性より潤滑を優先させているため電気式エアコンにPGAオイルが混入すると直接的に漏電、間接的にモータ巻線を劣化させやはり漏電に至る